森の中の事務所に立っている木。
乾燥させて皮をむいた木。
この木を見ていると、
僕の好きな写真家の本を思い出す。
「旅をする木」
そこにでてくる話のヒトツ
アラスカのある川ぞいに、1本の木が生えている。
小さな動物がそこに住んだり、
実を食べたり、
その木の木陰で、大きな動物が休んだり。
長い時間の中で、川ぞいのその木の根元の土が
どんどん川の水で浸食され、
ある日、その木はとうとう倒されてしまう。
木は川に流されて、海にでる。
海に出た木は、ある海岸に流れ着く。
流れ着いてからしばらくすると、
その木に、小さな動物が集まったり、
住んだりするようになる。
その木の、新しい時代がまた始まる。
だいたいこんな内容の話だったと思う。
その本は、
すごく静か。
何も否定も肯定もせずに、
ただ、たんたんと、
彼のまわりの風景と起こった事を
書き記す。
それなのに、
僕はその本にずいぶんと夢中になったのだ。
森の中の事務所に立っている木。
乾燥させて皮をむいた木。
この木を見ていると、
僕の好きな写真家の本を思い出す。
よこち
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